シャオの登頂記

神戸でのMBA生活も修了し、今度はUS-NYへ赴任することに。英語が苦手なManagerは生き残れるのか… 関わっている多くの方と、いつかの自分のために、もがき続ける?!姿を記録します

BSCを再考する (その他授業)

本日は、現代経営学研究(学術をより実務に近づけた研究)某団体:R◯◯◯  の会合でした。
 
正確には…
産学連携を通じた経営教育研究の促進を基本理念とし、
産業界と学界を架橋するシステムの構築を通じて、先端的・実践的経営学の教育研究を促進する活動
 
毎回、主題によってだいぶ突っ込んだ内容となるのですが、今回は管理会計ということもあり
午前に子供の日曜参観を済ませ、ちょこっと修論、午後から参加となりました。
 
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●(もう一度確認)BSCの基本コンセプト (キャプランノートン の考案したツール

 ・4つの視点(財務、顧客、業務プロセス、学習と成長(組織能力ともいう))
 ・財務指標と非財務指標がある
 ・先行指標と遅行指標
 ・戦略マップ
 ・戦略的マネジメント・システム
 
● BSCの狙い (各社、取組目的によっても異なる)
 ・財務指標偏重の業務評価制度からの脱却
 ・近視眼的経営の克服
 ・戦略志向の組織作り
 ・戦略学習
 
● Why: なぜ、いまもう一度BSCを問う必要があるのか?!
 ・魅力的なコンセプト 日本企業にとってまだまだ、数値と戦略実行の融合ツールとして
 ・断片的な証拠      
 ・学術研究の不十分さ 
   BSCが考案されてから15年以上。それまでに何があったのか?
   導入したけども、やめてしまった企業も多い
 ・どこにいっても同じような、BSC (戦略ってないんじゃないの?)
 
● What:この議論で何を明らかに?
 BSCは本当に必要なのか、必要であるとすれば、どのような企業が必要とするのか?
 BSCのコストとベネフィットとはなにか? 逆に、デメリットは? 
 BSCの今後のあり方

●グループ・グローバルで推進する戦略PDCA
概況
・どんどん海外で売上が上がるようになる。ちゃんと管理しないといけない
・円安傾向にあるが、この位の円安であれば、日本企業のM&Aは止まらない
・海外派遣の人数は、06年をピークに頭打ち、平均30代後半?
・日本で課長を経験する前に、海外オペレーションの責任者になる時代
 
・管理する本社機能が膨れており減らす必要がある:本社のライトサイジング
GHQからRHQに権限移譲:多極分散化マネジメントモデルの構築
・世界中に広まったPDCAをマネジメントする:グローバルの戦略PDCAプロセルの確立
 
● グローバルの戦略のPDCAプロセスの確立 (← ここにBSCを使う!)
どのレベルの会社に必要か? 海外比率30%を超えると、戦略に影響が出始める
<問題>
・現地化すればするほど、現地が見えなくなる: 現地現物が見えない
・人によって変わる管理手法:共通言語の欠落
・現地のキーマネージャーのばらつきが悪く、まとまりが悪い:経営スキルのバラつき
 
● KPI(Key Performance Indicator) 4つの条件の上に成り立っている
・目指す方向性が決まっている
・行動をドライブさせる方向
・アラート機能
・成功した場合の報酬 モチベーション
 → マーケットにおいて、勝ったのか、負けたのかが分かる指標
 → 海外人材の評価規準
 
Q. なんでこの15年BSCは期待どおりの効果がでないのか?
海外では、ツール(=BSC)ですが、トンカチなんです。 トンカチを不利益の理由にするのはNG
 
●非財務KPI集:探してみると、信頼できる珠玉のKPIがある、そしてヨコ展開もできる
 Ex コンサル事業
  KPI= 契約継続率:同一クライアント窓口からシームレスに継続した案件 / 全案件
  KPI↑⇒営業コスト↓+機会損失↓⇒利益↑ 
 
●Beyond Budgeting:
・予算達成で評価するのではなく、業界他社/社内他組織との相対評価で業績評価を実施する
(予算達成の上下ではなく、他のパフォーマンスからの上下で評価)

BSCを実践する上での課題=学術研究からの提起=
 
・BSCの因果連鎖(4つの視点、先行指標と結果指標)
 
・戦略の指標、目標(会社の地図)は、正しく浸透するのと同じくらい
 経営者は正しいと信じることが大切
 
・BSCに期待される効果:意思決定の支援と誘導

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意思決定誘導の偏重=どの企業でも当てはまりそうな内容…
 
意思決定誘導 診断型
・共通の指標の偏重:コモン・バイアス 
 →どうしたらいいの?
  業績評価の説明をさせる 
  指標の妥当性の保証する
  指標の選択に参加させる
意思決定支援 対話型
・過去の意思決定の正当化
  明確な戦略マップ(因果連鎖) なんとなくを防ぐ!
 
例 雪山の遭難している人に地図を渡した。その人は、山を降りることができた。
 でも、実はそれは、別の山の地図だった。。 
 → 遭難を防ぐための地図ではあるが、実はどんなのでも良いのか?
 
● BSCを実践する上での課題解決に向けて
・戦略マップの因果関係を、自ら明確化できるか? 
 前年比、同期比、産業の要因、数値分解してみる(効果を測定する)
意思決定支援に活用
 経営層が望むことが必要条件 それで、対話型であること
 BSCと戦略を短期的に見直すこと

ディスカッション
 
●BSC 今後どうなるか?
・業績評価とのリンクこそが目的達成の必須事項<コンサル意見> 
  ⇔ 業績評価と結び付けない方が浸透した<実務意見>
・あいまいな戦略マップ、業績評価をすることが一番無駄 (共通理解)
 →  組合せで考える。 Ex. 視点Aを↓でも、視点Bを↑ 翌年に組合せ再調整 
 → 時間を掛けて対話する。  
  現場からのボトムアップのKPI(良い)はあるか
  業績にリンクするKPIはないか
  他事業部で良いKPIをヨコ展開する
  自社に、良いマネジメントコントロールはないのか
  アウトプットコントロールを調整/議論する
 
見える化は、本当に良いのか? いちいち、数値することでデメリットが多い
・BSCは管理コストが相当掛かる。 でも、戦略の数値化
・あれもこれもの、BSC指標はNG。財務に効くKPIを。意味のあるKPIをだけを管理
 
●BSCは万能?どの会社でも使えるの?
  曖昧な戦略マップしか作れない企業は、BSCのようなツールを使うべきではない 
  (BSCを導入する意思決定により多くの人、コストに影響がある)
 ⇔ (現在の原因でもある)経営企画の様な部門が、自分達が策定する理由を見つめ直し、
  不要なKPIをそぎ落としていくことで、何処の企業でもBSCを活用できる
 
なぜ、多面的な曖昧なBSCになってしまうのか → どうしたらイメージ

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●その他
 FVO (Few 極上の厳選されたKPI で、活動することを浸透させる
 企業の強みは何なのか? を答えられる企業は少ない。
 
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BSCは、自分には関係が薄いかなと思いつつ参加したセッションでしたが、おもしろかった。
特に、非財務のKPIの考え方については、自社はもっと取組みを厚くすべきたど思う。
BSCに向いていない会社 (要は、出来ない会社)がある!というのも耳が痛いところ。
 
論文も、すこし管理会計の要素を見直してみよう!と思います。
卒業後も、続けられたらいいな。参加費高いけど。。